
バッチャン焼きの刻印は本物の証?
こんにちは、アジアン食器専門店サラヤシキの藤井です。
今日は食器そのものではなく、食器の裏の刻印にスポットを当ててみたいと思います。
バッチャン焼きはハノイ市内のお土産屋さんでも多数販売されていて、実用性の高いベトナム土産として人気を集めています。実際にバッチャン焼きが製造されているバッチャン村もハノイ市内から約13kmという比較的近い場所にあり、ロンビエンバスターミナルから市バスで簡単に行くことができるので、陶器製品がお好きな方にはオススメの観光スポットです。
さて、そんなバッチャン焼きの多くには、裏面に『Bat Trang』という刻印があります。
一部のネット記事で「バッチャン焼きを購入する際には裏面の刻印を確かめましょう」といった内容が書かれていたりしますが、本当に「刻印あり=本物」なのでしょうか?
製造現場ではあまり重要視されていない

結論から言うと、『刻印があるから本物、刻印がないから偽物』ではありません。
刻印がない本物もあれば、刻印のある偽物もあります。
これまでバッチャン焼きを輸入してきた私の主観ですが、バッチャン焼きの製造現場(窯元)では別段『Bat Trang』の刻印は重要とされていない印象を受けました。刻印はただのサインであり、商品そのものの品質とは無関係なため、職人さんもあまりこだわっていないようです。
当店ではバッチャン村の窯元に直接商品を発注していますが、同じ商品であっても製造ロットによって刻印が無い場合もあります。また刻印があっても不鮮明で読み取れないものや、『Bat Trang』という文字ではなくメーカーのロゴを刻印する場合もあります。そのあたりは担当した職人さんによります。
じゃあどうやって本物を見分けるの?
私がハノイ市内のお土産屋さんで見かけたバッチャン焼きは、すべて綺麗に『Bat Trang』と刻印されていました。もちろんお土産用として販売する以上はひと目でバッチャン焼きとわかる必要があり、お客さんもきちんと印字されたものの方が良いのは当然です。
ただ『Bat Trang』の刻印だけなら誰でも付けることができるので、刻印が本物の証とは言えないのも事実です。むしろ偽物を販売しようとする業者は必ず刻印を付けるはずなので、本物か否かの判断材料としてあまり鵜呑みにしすぎるのも考えものです。
ではどうやって本物を見分けるのか?
個人的には、刻印よりも「手作り感」を重視すべきだと思います。
バッチャン焼きはすべて職人さんがひとつひとつ絵付けをしています。そのため色ムラがあったり気泡が付いていたりと、とにかくひと目でわかる「手作り感」があります。大量生産品との違いは一目瞭然なので、刻印だけではなく陶器製品そのものの質感をじっくり観察してみるのがオススメです。

余談ですが、以前タイのバンコクでベンジャロン焼きの偽物を見かけたことがあります。ベンジャロン焼きも手描きで、しかも本物の金を使用した豪華絢爛な装飾が施された高級食器なので、知らずに買ってしまうと大変な損害になります。ちなみにその偽物は手描き特有の凸凹した手触りがなく、明らかにプリントされた装飾でした。
バッチャン焼きは比較的お求めやすい価格の焼き物なので偽物が出回ることも少ないかもしれませんが、わかりやすい記号に惑わされないよう十分ご注意ください。
