サラヤシキが商標登録したベトナム食器のネーミング『ソンチャン焼き』は、弁理士に依頼せず自分で商標登録した。

こんにちは、アジアン食器専門店サラヤシキの藤井です!去年2023年秋から水面下で開発していたオリジナルベトナム食器『ソンチャン焼き®』が、このたび晴れて商標登録されました!!嬉しい!!

ソンチャン焼きは、ベトナム南部のヴィンテージ食器『ソンベ焼き』をベトナム北部に伝わるバッチャン焼きの技法で実用食器として再現した、サラヤシキオリジナルのベトナム食器です。なぜわざわざそんな面倒なことをしたかと言うと、ソンベ焼きは1950~1970年代に流行した焼き物で、現在ではほとんどの窯元が閉鎖してしまい、市場に出回っている大半が古物(ヴィンテージ食器)という状態だからです。輸入業界においてこのヴィンテージ食器というものは非常に扱いが難しく、食品衛生法の規制により「食べ物を乗せるための道具」として輸入するのはほぼ不可能に近いと言えます。海外製の食器はカドミウムや鉛など人体に有害な物質が使われていないか予め製品検査を受け、輸入時にその検査証を提出することが義務付けられていますが、どこで、誰が、どんな素材で作ったものか不明な古い食器は、そもそも検査を受けることすらできません。だからこそ、今でも現役で陶器製品を作り続けているバッチャン焼きの職人さんに協力を仰ぎ、失われつつなるソンベ焼きを「実際に使える食器として」復刻させたのが、このソンチャン焼きでした。

サラヤシキが商標登録したベトナム食器のネーミング『ソンチャン焼き』は、弁理士に依頼せず自らで早期審査を申請した。

前置きが長くなってしまいました……。
そんなこんなで、せっかくならこのネーミングも商標登録しちゃおう!そう思った私は、早速色々と調べはじめました。最初は商標登録=弁理士というイメージがあったので、まずはネットで弁理士さんを探そうとしました。商標登録と言っても様々なケースがあり、どのサイトもはっきりとした金額が書いていませんでしたが、どうやら特許印紙代込みで10万円~15万円くらいが相場のようでした。もっと安くできないものかと思いさらに調べたところ、今は調査・申請までネットで完結するサービスがあることを知り、オンラインで見積もりを取ってみたところ、大体7万円くらい(1区分・10年)になりそうでした。

本来ならこのまま申請を進めるところですが、「そもそも特許庁の管轄なのに弁理士のサポートがないと出来ないっておかしくない?」「確定申告も税理士に頼らずやったんだから意外と自力でできるんじゃない?」と疑問に思いはじめ、さらに調べを進めたところ、公益社団法人発明協会という組織の存在に行き当たりました。この発明協会は日本全国に関連団体の支部があり、私の住む奈良県にも一般社団法人奈良県発明協会がありました。早速問い合わせてみると、なんと商標登録の書類作成や申請方法を無料で指導してくれるというではありませんか!!担当の方に経緯を説明し、面談を予約。当日はマンツーマンで書類を一緒に作成して頂き、その書類を特許庁に提出するだけであっという間に申請が完了しました。素晴らしい!!

商標登録は申請してから登録が完了するまで通常半年以上はかかると言われています。しかし場合によっては、審査を優先的に行ってもらえるよう早期審査を申請できる制度があり、これには相応となる「急ぐ理由」を提示しなくてはなりません。なんとなくハードルが高そうに感じられますが、実は意外と簡単。「その商標を既に使用している状況にある」ことが証明できれば、急ぐ理由として妥当なものと認められるそうです。私の場合、既にソンチャン焼きとして商品を販売していたので、その販売ページのスクショをプリントアウトしたものを添付するだけでOKでした。ここで気を付けるべきは、ひと目でその文字列が使用されていることがわかること。当初サラヤシキの商品ページでは、説明文にこそソンチャン焼きの説明が記載されていましたが、商品名が「ソンチャン オーバルプレート」になっていたので、それを「ソンチャン焼き オーバルプレート」に修正するようアドバイスをもらいました。とにかく使用していることが分かりやすいのが望ましいようです。ちなみに「ソンチャン」だけで検索すると、韓流アイドルRIIZEのメンバーであるソンチャンという方が出てきます。同じ名前のイケメンアイドルが存在することは光栄ですが、こういった混乱を招かないためにも申請している文字列そのままを商品名として使用している必要があるようです。早期審査の申請は、一旦出願が受理されたあとに追加で行います。追加費用は一切かかりません。早期審査が受理され特に問題がなければ、大体2ヵ月くらいで登録完了の通知が届きます。
<参考>商標早期審査・早期審理の概要(特許庁HP)

以上がざっくりとした商標登録の経験談です。
『ソンチャン焼き』に商標登録が必要かどうかはわかりません。しかし今後少しずつラインナップが増えてきて、例えばメディアで紹介される機会があったりすれば、サラヤシキのオリジナル食器であるソンチャン焼きに「®マーク」が付いていることを心強く感じると思います。むしろそうなれるよう頑張ろうと思えることもプラスに働くのではないでしょうか。商標登録という一見難しそうなことを、サポートを受けながらとはいえ自力で完遂したこともなんだかちょっと嬉しかったりします。丁寧に指導してくださった発明協会の方々には感謝しかありません。弁理士さんにお願いする方が間違いなくラクですが、先入観で勝手に出来ないと判断せず、まずは常識を疑うことが大事なのかもしれませんね。

食品衛生法の検査を受けた安全なバッチャン焼き・セラドン焼きを販売するサラヤシキ
商標登録は自分でできる!?弁理士に頼らず自力で登録できた話し