ベトナムのハノイ近郊にある陶器の村『バッチャン村』で作られた焼き物『バッチャン焼き』について

ホンモノの証明

こんにちは、アジアン食器専門店サラヤシキの藤井です!

突然ですが、先日当店のバッチャン焼きについて「本物ですか?」というお問合せを頂きました。
もちろん「ホンモノデゴザイマス」と回答させていただきましたが、そもそも偽物を売っている業者も「偽物です」とは絶対言わないと思うので、これはもう信頼して頂くしかないかと思います。

なるべくSNSなどで買い付けの様子なども発信するようにしていますが、そもそも鑑定書や保証書のあるものではありません。
そしてお客様が危惧されていたように、たしかに観光客向けのおみやげ屋さんには疑わしいものも沢山あるのが現実です。これはバッチャン焼きに限らず、タイのベンジャロン焼きのように価格の高いものは特に注意が必要です。

では今の私ができる全力を尽くして「これは本物のバッチャン焼きです!」と主張するとすれば、どんな方法があるでしょうか。
そこで思いついたのが、いわゆる『原産地証明書』と呼ばれるこちらの書類です。

この書類はつまり「この製品は間違いなくベトナムで製造されたものです」と証明するためのものです。輸出者名・住所の欄に「BAT TRANG VILLAGE(バッチャン村)」の文字があるのがわかります。

スコッチはスコットランド、シャンパンはシャンパーニュ地方で作られたものであるのと同じで、バッチャン村で作られたものだけをバッチャン焼きと言います。

つまりこの書類があれば本物であることが証明できるのです。

原産地証明書とは?

せっかくなので、この原産地証明(FORM AJ)という書類についても少しだけ触れておきます。
ベトナムやタイはASEAN(東南アジア諸国連合)という協定を結んでおり、この枠組み内での貿易は一定の条件を満たせば関税の優遇措置を受けることができます。そしてそれを適用するためには、単にベトナムで「買った」だけではなく、ベトナム国内で「作られた」ものであることを証明しなくてはなりません。
ベトナムの製造元がベトナムの商工省に申請し、「日本のサラヤシキに輸出するこの食器は間違いなく私たちが作りました」という証明書を発行してもらいます。そしてそれを輸入者である私に送り、日本の税関に提出することで関税が優遇されるという流れになります。
原産地証明書は現地メーカー側からの申請しか受け付けてもらえないので、メーカーの協力が必要不可欠になります。しかもメーカーにとっては何のメリットもないので、ただただ協力をお願いするしかありません。ここが難しいところ。
<参考> JETRO「原産地規則と原産地証明書:ベトナム」

原産地証明書がないと輸入できないの?

原産地証明書が入手できない場合も、輸入自体には特に問題ありません。ただ通常通りの税率で関税がかかってしまうだけです。品目や物量にもよりますが、取得にかかる手間と天秤にかけて敢えて取得しないこともあります。
しかしどちらにしろ、メーカーさんの協力が必要な書類は他にも沢山あります。特に食品衛生法の検査に必要な手続きは難解で、膨大な手間と費用がかかります。通常の雑貨と比べて食器の輸入が難しいと言われるのは、まさにこの部分です。

露店で見つけた可愛い食器を仕入たいと思っても、どこの誰が作ったかわからない食器は輸入許可以前に申請することすらできません。まずは製造元を特定し、直接コンタクトを取り、どうしても輸入したいのだと情熱をぶつけるところからはじめましょう。
タイ語もベトナム語も英語も話せない私がどうにか輸入業をはじめることができたのは、文明の利器であるGoogle翻訳のチカラがかなり大きいと言えます。昔だったらすぐに挫折していたことでしょう。便利な時代になったものです。

食品衛生法の検査を受けた安全なバッチャン焼き・セラドン焼きを販売するサラヤシキ
スコッチはスコットランド、シャンパンはシャンパーニュ地方で作られたものであるのと同じで、バッチャン村で作られたものだけをバッチャン焼きと言います。
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